厚生労働省は、大阪府の印刷事業場での胆管がんの発症の原因究明として作業場所での環境測定、有害物質
の使用状況等について、独立行政法人労働安全衛生総合研究所に調査を依頼し、同研究所は、その結果報告
「災害調査報告書-大阪府の印刷工場にける疾病災害」を取りまとめ公表しました。
【実施した調査の項目】
(1)空調システムの測定・評価
(2)現在の校正印刷作業における気中濃度測定
(3)当時の労働者のばく露を推定するための模擬実験
【報告書の概要】
(1)作業場での換気の状況
作業場の空調システムを調べた結果、3系統の空調システムのうち、全体循環系からの排気は、
還流して外気と混じり合い、作業場内に供給される仕組み(還流率67%)であることがわかった。
有害化学物質を使用すると汚染された空気の再流入が起こり、作業者の高濃度ばく露につながる
懸念がある。
(2)有害物質のばく露状況
有機塩素系洗浄剤が使用されていた過去の時点での労働者のばく露を推定するため、模擬実験
を行った結果(還流率は56%)、全体循環系の給気口から汚染された空気が供給されていることが
確認され、ジクロロメタンと1,2-ジクロロプロパンの混合溶剤を時間当たり1.75リットル使用した場合
に、個人ばく露濃度でジクロロメタン130-360 ppm、1,2-ジクロロプロパン60-210 ppm と
ACGIHの許容濃度と比べて大幅に高い測定結果となった。また、作業場内の測定場所によって個
人ばく露濃度と環境濃度に高低の不均衡が認められ、当時使われていた2系統の空調システムの
不適切な配置等が均一な拡散と排気を妨げ、室内空気の局所的な滞留を起こしやすくしていた
と推測される。
※詳細と報告書全文は下記URLをご覧ください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002ioeh.html